毎年、中国鶏卵業界の経営者・大学教授等で構成される視察団が来日され、私たちAWCPは数年にわたり、その視察先の手配などをサポートしてきました。これまでは、卵を主に扱う食品企業の工場や店舗、畜産関連の展示会などを訪れ、学びの機会を設けています。

今年も、中国鶏卵業界のリーダー32名が来日され、AWCPは協働パートナーであるLively合同会社(※)と共に特別なプログラムを企画しました。今回は、今年5月に東京農工大学府中キャンパスに新設された次世代型畜産福祉モデル鶏舎「Unshelled(アンシェルド)」のプレオープン体験プログラムへのご案内が実現しました。(※Lively合同会社:コンサルティングや共同研究を通じて持続可能な社会の実現を目指す企業です。)

■持続可能な畜産の未来を体現する「Unshelled」

広々とした自然豊かな敷地に新設されたモデル鶏舎「Unshelled(アンシェルド)」は、アニマルウェルフェアの研究と、持続可能な畜産に関する研究・教育・普及を目的に、東京農工大学大学院農学研究院の新村毅教授が開発した施設です。Lively合同会社が、新村教授と共に体験型の教育プログラムを開発・提供しています。 「Unshelled」の最大の特徴は、エンリッチドケージ、多段式エイビアリー、平飼い、放牧といった多様な飼育システムを一つ屋根の下に併設している点です。これにより、それぞれの環境下での鶏の行動や福祉レベルの違いを、実際に比較・観察することができます。 

■活発な質疑応答と交流が生まれた体験プログラム

当日は、まず初めに新村教授によるプレゼンテーションが行われました。施設の紹介に続き、ケージフリー卵とケージ卵の科学的な違いに関する研究内容が発表されると、参加者からは大きな関心が寄せられ、活発な質疑応答が交わされました。

その後の施設見学では、参加者の皆様は熱心に写真を撮り、意見を交わしながら各飼育システムを視察。鶏舎だけでなく、同じ敷地内にある持続可能な資源循環型畜産を研究するための畑や昆虫工場にも足を止め、多くの質問が飛び交いました。締めくくりには、新村教授からお一人お一人に受講証明書が授与され、記念撮影が行われました。さらに、ご一行から中国のお土産が贈られるなど、大変実りの多い交流の時間となりました。

世界最大の卵生産国である中国でも、世界の潮流に応じてケージフリー生産の技術と市場が活性化しつつあります。AWCPは、こうした国際交流を通じて中国のカンファレンスに招聘されるなど、相互の信頼関係を深めてきました。今後も情報交換を継続し、共にアニマルウェルフェアの普及に貢献してまいります。


「Unshelled(アンシェルド)」の体験プログラムについて

次世代型畜産福祉モデル鶏舎「Unshelled(アンシェルド)」の体験プログラムに参加することで、アニマルウェルフェアの課題を克服するために必要な科学的な知見と、持続可能なフードサプライチェーンの重要性を理解し、具体的な改善策を見つける貴重な機会が得られます。採卵鶏の飼育システム別の技術的な違いや、実験研究内容に関する深い知見を得る機会を提供しています。

詳しくはLively合同会社のサイトをご覧ください。 https://livelyjp.com/news/2025/05/23/1-11/

プログラムのお申し込みの詳細はこちら https://livelyjp.com/project/animal_welfare_report_202505/