2026年2月5日、AWCPは東京学芸大学附属国際中等教育学校の中学3年生に向けて、2回目のアニマルウェルフェアについての特別授業の機会をいただきました。技術・家庭科(技術分野)の馬田大輔先生からいただいた授業「生物育成の技術」でのアニマルウェルフェアをテーマにした授業でした。

2回目の今年は、AWCPとともに、東京農工大学の新村毅教授、Lively合同会社の三浦さん、そして元行政、リテールなどでのお仕事のご経歴のある田中さんが参加しました。昨年に続き、事前に学生たちが生産者、消費者、行政というそれぞれの視点にたち、アニマルウェルフェア推進のための要因を分析し、仮説を立て、リサーチに基づいた提言を行いました。それを実物の研究者、企業、ESG、サステナの専門家、そして活動家が自身の経験を活かして、コメントを出していきました。

この授業は馬田先生がいらしたからこそ、実現したものです。先生ご自身の技術・家庭(技術分野)における授業では、現代的課題のひとつとして、畜産における倫理問題、特に採卵鶏のアニマルウェルフェアについて深く掘り下げられています。

事前に拝見した学生からの探究内容は、私たちにとっても学びとなりました。異なるステークホルダーの立場でアニマルウェルフェア、ケージフリーを考え、提言を出しています。行政への提言が最も多い中で、消費者向けの提言、生産者向けもありました。以下のような内容が(類似したコメントはまとめています)、目につきました。

🥚 購買する側の売り場での努力、ケージフリーの実現には、ケージで飼われている鶏の現状を知らせる

🥚 販売するときに卵がどう作られたか、がわかるような表示義務の仕組みづくり

🥚 消費者認知として、教育にもっとアニマルウェルフェアを取り込む

🥚 行政のケージフリー鶏卵をした生産者への資金援助や技術的援助


学生からのコメント

2月5日のオンラインディスカッションを視聴した学生より、印象に残った部分とその理由について説明した回答をいただきました。

・生産者同士での遠慮の気持ちがあるというのが新しい視点で印象に残った。きっとどの産業でも同業者や一緒に仕事をする人に対しての配慮があって、それが変革の妨げになっているということも多くあるのかもしれない。「購入は投票だ」という言葉もよくわかった。結局、産業はすべて売れるかどうか、にかかっているから、生産者だけでなく消費者側が判断して協力すべき問題であると思った。

・最も印象に残ったことは、アニマルフェアがなかなか進まない理由として、時代や世代による価値観の違いが大きく関係しているという点。昔は、動物は「人間の役に立つ存在」と考えられることが多く、食料や労働力として利用することが当たり前でした。そのため、動物の気持ちや権利について深く考える機会は少なかったのだと思った。一方で、現代ではペットを家族の一員として扱う人が増え、動物にも苦しみや幸せを感じる心があるという考え方が広く受け入れられている。

・アニマルフェアの問題は単に「良いか悪いか」だけではなく、人々が育ってきた環境や経験によって考え方が大きく変わるということが印象的だった。もし価値観の違いを理解せずに一方的に意見を押しつけてしまうと、対立が生まれるかもしれない。そまずはお互いの考えの背景を知り、少しずつ共通点を見つけていくことが大切だと感じた。

・今回アニマルフェアを広めるためには、法律やルールを作るだけでなく、教育や対話を通して価値観そのものを少しずつ変えていく必要があるのだと考えた。

・1番印象に残ったのはどのように文化的背景、歴史的問題そして概念の違いがこのフリーケージへの提言の実行可能性について関わっているのか。アメリカなどとは違って日本においてケージフリーが進まないのにはそもそもの価値観の違いや生き物に対する概念が国によって違うという意見が出て疑問に思った。その詳しい歴史的背景と概念の違いを理解することで根本的にケージフリーが進まない理由を理解できるのではないかと思ったのでさらに詳しく知りたい。ケージフリーの価値について、価値が高くなければそもそも私たち消費者は高いお金を出して買わない。しかしこれを解決するには動物倫理を教育としてとるべきだったり、実際に私たち消費者に知る努力をしてもらわないと進まないなと改めて思った。

・「卵は口に入れるもの、できることもできないこともある」という言葉が自分になかった視点をついてくれて印象に残っている。卵がどんなものなのか、それに適した販売方法とケージフリーを広めることを目指す販売方法は合致するのかを考えさせられるきっかけになった。

・買い物は投票だと言う言葉がとても印象的。私たちが普段何気なく買っているものが生産者さんにとどいてると言うのを聞いて自分の買うものにもっと責任を持って買おうという気持ちになった。


今回で2回目となる馬田先生のアニマルウェルフェアの授業から、学ぶものがたくさんありました。
ここで時間をかけて、「たまご」という身近な食材について考える、さらに生産〜動物についてまで考える学習の機会を得た学生たちが、アニマルウェルフェアの発展に貢献してくれることを願っています。

皆様素晴らしい機会をいただき、ありがとうございます。