一般社団法人 日本サステイナブル・レストラン協会(SRAジャパン)は、日本の外食産業における持続可能な取り組みを評価し、その功績を讃える「FOOD MADE GOOD Japan Awards」を2021年より開催してまいりました。そしてこの度、「FOOD MADE GOOD Japan Awards 2025」が、11月17日にザ・キャピトルホテル 東急にて華やかに開催されました。今年で5回目を迎えるこのアワードは、食の未来をより良くするためのリーダーシップと革新を祝う、業界にとってまさに指標となるホールマーク的な極めて有意義なイベントです。

特に2025年度は、アニマルウェルフェア・コーポレート・パートナーズ・ジャパン(AWCP)にも共催の機会をいただき、社会的な関心が高まるテーマである「アニマルウェルフェア賞」を新設いたしました。この新設部門には、25店舗という多くの飲食店様からご応募をいただき、その熱量の高さに感動いたしました。【参加25店舗の紹介サイト

参加された店舗様は、平飼い卵の普及という共通の目標に向かい、創意工夫を凝らした取り組みを展開されました。具体的には、Instagramで平飼い卵を使ったお料理の写真を載せ、ハッシュタグをつけて積極的に発信したり、お客様に直接平飼い卵を使用していることを伝えたり、店内でお知らせを掲出したりと、多角的な啓発活動を実施されました。さらに、中には県を超えて平飼い養鶏場に実際に足を運び、学びの機会を作るという真摯な姿勢を示す飲食店様もありました。一店一店がこれほどまでに熱心に取り組んでくださったため、審査では参加店のすべてに賞を差し上げたい気持ちで溢れ、大変な苦労をいたしました。

時間をかけて熟慮を重ねた結果、下記が厳正な審査の結果となります。

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【速報】第1回 BESTアニマルウェルフェア賞 受賞者発表

今年9月に実施された「アニマルウェルフェア アクションキャンペーン」と連動した「BESTアニマルウェルフェア賞」は、平飼い卵を使ったメニューを提供し、アニマルウェルフェアの向上に卓越した貢献をした店舗に贈られます。

厳正なる審査の結果、栄えある第1回目の受賞者が決定いたしました。

受賞店舗

クッチーナサルヴェ(埼玉県秩父市) – オーナーの坪内シェフが育てる平飼いたまご100%使用

大江ノ郷自然牧場「大江ノ郷ヴィレッジ ココガーデン」(鳥取県八頭郡八頭町) – 自社農場での平飼いたまご100%使用

ファイナリスト

ザ・ブランド・ドンキー(The Blind Donkey)- 千葉県木更津市のクルックフィールズの卵を使用。日頃より、自然に寄り添う生産者をサポートするという立ち位置で、生産者との交流に努め、関係を築かれています。クルックフィールドさんの平飼い卵は、メニューの定番として取り入れてくださいました。平飼いたまご100%使用

ピッツェリア ジターリア ダ フィリッポ(PIZZERIA GITALIA DA FILIPPO)- 北海道の厚真町にある小林農園の卵を使用。農園まで訪ねて農場見学をし、お店でメニューに取り入れたり、店舗で販売するなど、平飼い卵についてお客様への周知に尽力いただきました。

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ミッケラーバーガー(Mikkeller Burger)- 山梨県の黒富士農場の卵を使用しています。クラフトビール店ですが、店舗で扱う食材についても生産者の見えるものを多く扱われています。日頃からバーガーに扱われている希少な国内外の放牧牛に合わせて、放牧で育った黒富士さんの卵を卵トッピングとして提供いただきました。またご来店のお客様に、その魅力を伝えてくださいました。平飼いたまご100%使用

今回受賞した2店舗は、アニマルウェルフェアへの深い理解と情熱を、日々のレストラン運営に見事に融合させています。

クッチーナサルヴェ(埼玉県秩父市)

坪内シェフが率いる「クッチーナサルヴェ」は、シェフ自身が幼少期に悩まされたアレルギー体質の経験から、「自分でも食べられるもの」を探し続けた旅の集大成として誕生しました。その哲学は、食材の源流にまで遡ります。

自社農園では年間150種類以上の野菜を栽培し、200羽の鶏を平飼いで丁寧に育てています。レストランで提供される卵は、すべてこの自社農場の平飼いたまごです。「レシピのないレストラン」をコンセプトに、その日、その季節に最も輝く食材を活かした料理を提供。訪れる客は、料理の味わいだけでなく、食材の背景にある物語や生産者の想いにも触れることができます。

受賞時のお言葉の中で、坪内シェフは「本当に嬉しい。食材のルーツがわかると料理の世界観が変わってきます。食材から自分で作って提供したい。またアニマルウェルフェアがスタンダードになるようにしたいのです」とお気持ちを語ってくれました。

大江ノ郷自然牧場「大江ノ郷ヴィレッジ/ ココガーデン」(鳥取県八頭町)

鳥取の豊かな自然の中で、「食を通じて農業の大切さを伝える」という使命を掲げるのが「大江ノ郷自然牧場」です。ここでは、鶏は「卵を産む道具」ではなく、”コッコ”と呼んで、大切な仲間として共存しています。ケージに閉じ込めることなく、地面の上を自由に走り回れる「平飼い養鶏」を実践し、鶏本来の習性を尊重しています。

餌は自然由来の栄養豊かなものを与え、地域の農家と協力して国内産のトウモロコシや米、大豆を使用することで、日本の農業を守る活動にも貢献。さらに、鶏糞を有機肥料として地元の農地に還元する「自然循環型農業」を実践し、持続可能な社会の実現を目指しています。併設のカフェで提供される、うみたて100%の平飼い卵を使ったパンケーキやランチは、その哲学の結晶と言えるでしょう。オンラインショップも展開し、その価値を全国に届けています。

小原利一郎社長の代理で受賞式にこられた高木さんは「胸がいっぱいです。創業当初から平飼い卵を生産し、一つ一つ思いを積み重ねてきた。それが表されて嬉しいです。」とお気持ちを話してくださいました。

FOOD MADE GOOD Japan Awards 2025 開催概要

レストランの優れた持続可能性の実践を奨励し、評価するための国際基準「FOOD MADE GOODスタンダード」に基づいています。加盟レストランの取り組みをスコアリングし、その推進度に応じて星を授与。さらに、専門家による厳正な審査会を経て、各部門の受賞者が選出されます。賞はサステナビリティを「調達」「社会」「環境」の3つの柱で評価する「FOOD MADE GOODスタンダード」に基づき、以下の賞が設けられています。

FOOD MADE GOOD
Japan Awards 2025大賞

 部門賞

    ◦ BEST調達賞

    ◦ BEST社会賞

    ◦ BEST環境賞

特別賞

    ◦  BESTリサイクル賞

    ◦ BESTフェアトレード賞

    ◦ BESTアニマルウェルフェア賞 (2025年新設)

これらの賞は、SRAジャパン加盟店の中から、FOOD MADE GOODスタンダードのレーティングで高いスコアを獲得し、かつ各分野で特に優れた取り組みを行った店舗に贈られます。

「FOOD MADE GOOD Japan Awards 2025」は、今回受賞された店舗のような先駆的な取り組みに光を当てることで、外食産業全体のサステナビリティ意識を向上させる強大な原動力となります。この波は、他の部門賞の発表にも大きな期待として寄せられています。

今回新設された「アニマルウェルフェア賞」を通じて、私たちAWCPは、この取り組みが平飼い卵の価値と普及を加速させる重要な機会になったことを強く確信しています。著名で影響力のあるレストラン、シェフ、そしてパティシエの皆様が、アニマルウェルフェアの実現に尽力してくださることで、日本においてもアニマルウェルフェアに配慮した畜産物が「美味しい」の最低基準となる未来が、確実に近づいています。

ご参加、ご協力くださったすべての皆様に、心より感謝申し上げます。

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一般社団法人 日本サステイナブル・レストラン協会」について

食のアカデミー賞と称される「世界のベストレストラン50」でサステナブル・レストラン賞の評価も行う英国本部と連携し、格付けやキャンペーンを実施。生産者、サプライヤーやレストラン、消費者コミュニティの構築を通して、フードシステムの課題解決に取り組み、食の持続可能性を推進しています。

公式サイト:https://foodmadegood.jp/

Instagram:@foodmadegoodjp

facebook:@FoodMadeGoodJP