2024年9月12日にグローバルフードパートナーズ(GFP)とアニマルウェルフェア・コーポレート・パートナーズ (AWCP)が共同で、「ケージフリー鶏卵生産者のための市場機会」と題する、日本市場でケージフリー鶏卵の販路拡大と、ケージフリー製品のプレミアム獲得を目指している生産者またはサプライヤーを対象とした共同ウェビナーを実開催しました。本ウェビナーでは、生産者をご支援する様々な解決策の事例をそれぞれの団体が紹介しました。

AWCPの「ケージフリーネット(CFN)」について
AWCPはケージフリー鶏卵の調達を検討している食品企業に生産者の皆様をおつなぎするためのネットワークを構築しています。ウェビナーではネットワークの登録方法、登録後の情報の取り扱いについてお伝えする他、ケージフリー鶏卵市場についての国内外の情報の取得や、ケージフリー生産者同士のコミュニティーとしての機能も期待される「生産者メンバーズページ」(AWCPホームページに来年1月開設予定)の内容についても説明をしました。現在9つの生産者が登録してくれています。

GFPのインパクト・インセンティブについて
ケージフリー・インパクト・インセンティブ・プログラムがどのようにして新しい市場を開拓し、より多くのバイヤーを惹きつけ、貴社がアニマルウェルフェア、持続可能性のリーダーとして業界を牽引していくことを可能にするのかが、説明されました。昨年のウェビナーより、さらに生産者向けに分かりやすく解説をいたしました。

中国の業界リーダー「オボダン社」について
既にインパクト・インセンティブ・プログラムに加盟する、中国最大級のケージフリー鶏卵の生産・加工業者から、当プログラムに参加した理由と利点について説明いただきました。

セミナーの内容は、こちらのリンクからご視聴いただけます。

ケージフリー鶏卵調達 2025年に達成のための解決策
グローバル・フード・パートナーズ (GFP)のインパクトインセンティブ

今回協業したグローバル・フード・パートナーズの共同設立者 で COO のJayasimha Nuggehalli はは、自社のプログラムについて後日次のように説明しました。

インパクトインセンティブは戦略的なアプローチ
“インパクトインセンティブ”、または”ケージフリークレジット”と呼ばれる取引の仕組みは、企業がケージ飼育の鶏卵を購入しながら、他の場所でのケージフリー鶏卵の生産を支援するクレジットを購入することでケージフリー鶏卵の拡大を支援する取引の仕組みです。この方法は”ブック&クレームモデル”に基づいており、特にケージフリー鶏卵の調達が難しい地域で効果を発揮します。このモデルを利用することで、企業はケージフリーの約束を守りながら、より人道的な畜産への移行を支援することができます。

ユニリーバのケージフリー鶏卵への取り組み:業界の模範
ユニリーバは2025年までに100%ケージフリー鶏卵の供給チェーンを実現するという目標に向け、インパクトインセンティブを戦略に組み込むことで、アニマルウェルフェアへの重要な一歩を踏み出しました。この取り組みは、倫理的な調達と持続可能性を重視するユニリーバの姿勢を示すものであり、特に調達が困難な市場でも実行力を発揮しています。

新興市場におけるメリット
ブック&クレームモデルは、ケージフリー鶏卵の生産が未成熟な新興市場において特に効力を発揮します。このモデルを活用することで、企業は以下を実現できます。

●地元の生産者を支援:
クレジットを購入することで、企業はケージフリーシステムに移行する地元の生産者に経済的支援を提供し地域の経済発展を促進します。

●コンプライアンスを確保:
物理的なケージフリー鶏卵の調達が難しい場合でも、企業はグローバルな約束を守ることができます。

●持続可能性を促進:
このモデルは持続可能な生産慣行を奨励し、公約達成に遅れがちな地域でもアニマルウェルフェア基準を向上させます。

ユニリーバのリーダーシップ
ユニリーバがケージフリー戦略にインパクトインセンティブを取り入れたのは、同社の持続可能性と企業責任への強い意気込みを示しています。すでにヨーロッパや北米で100%ケージフリー鶏卵の調達を実現しているユニリーバは、現在、アジアなどの調達が難しい地域に注力しています。このインパクトインセンティブを活用することで、ユニリーバは2025年までにケージフリーの目標を全球的に達成し、他の企業の模範となる基準を築いています。

国内企業へも提案

多くの日本企業が、RSPO認証のパーム油クレジットを活用して持続可能な慣行を進めています。ブック&クレームシステムは、パーム油の持続可能な生産を促進する上で効果的であることが証明されています。このモデルを鶏卵の調達に拡大することで、日本にある企業も以下を実現できるのです。

結 論
ユニリーバがインパクトインセンティブを利用してケージフリーの約束を果たしていることは、グローバルな供給チェーンの複雑さに対応する先進的な戦略です。このモデルは、倫理的な基準を守るだけでなく、地元の農家を支援し、持続可能性を促進します。キユーピーもパーム油で成功を収めたブック&クレームクレジットの活用を卵の調達に適用し、持続可能性とアニマルウェルフェアへのコミットメントをさらに進めるべきです。そうすることで、キユーピーなどの日本企業もはユニリーバと共に、業界をより人道的で持続可能な未来に導くリーダーとなるでしょう。